ONE LOVE ボブ・マーリーの真実 Vol.5

2024年07月12日

写真と文 石田昌隆

1999年124日に、ジャマイカの北海岸、オラカベッサベイ(Oracabessa Bay)に作られた特設ステージで、ワン・ラヴ・ザ・ボブ・マーリー・オール・スター・トリビュート(One Love The Bob Marley All-Star Tribute)と題されたコンサート開催された。これはその前日に、オーチョリオス(Ocho Rios)に近いところにあった邸宅で撮影した。ボブ・マーリーの子どものうちの3人だ。中央がボブ・マーリーの次男、スティーヴン・マーリー(Stephen Marley 1972年生まれ、母はリタ・マーリー)。ローリン・ヒル、エリカ・バドゥ、バスタ・ライムス、グールー、ラキム、チャック・D、ザ・ルーツ、エアロスミスのスティーヴン・タイラーとジョー・ペリーなどが参加したボブ・マーリーのトリビュート・アルバム『Chant Down Babylon』(99年)のエグゼクティヴ・プロデューサーであり、そこから発展したワン・ラヴ・ザ・ボブ・マーリー・オール・スター・トリビュートの総合プロデューサーでもあった。右は、ダミアン・マーリー(Damian “Jr. Gong” Marley 1978年生まれ、母は1976年度のミス・ワールド、シンディ・ブレイクスピア)。ナズをゲストに迎えたグラミー受賞作『Welcome to Jamrock』(05年)は傑作だ。左は、ジュリアン・マーリー(Julian Marley 1975年生まれ、母はルーシー・パウンダー)。ボブ・マーリーを彷彿させるシンガーである。

ボブ・マーリーは、1981511日に亡くなった。その3か月後、198185日~9日にかけて、ジャマイカ、モンティゴベイのジャレット・パークで行なわれたレゲエ・サンスプラッシュに、ボブ・マーリーの子どもたちによるグループ、メロディ・メイカーズ(Ziggy Marley & the Melody Makers)が出演した。MCのトミー・コウワンの呼び込みで、ジギー・マーリー(Ziggy Marley 1968年生まれ)、スティーヴン・マーリーと、ふたりの姉、シャロン・マーリー(Sharon Marley 1964年生まれ)、セデラ・マーリー(Cedella Marley 1967年生まれ)が登場して、「Sugar Pie」という曲を歌った。伴奏はザ・ウェイラーズ。リード・ヴォーカルは、当時9歳のスティーブンだ。この頃は、親の七光りだろうけどカワイイぐらいに思っていたが、その後、ボブ・マーリーの子どもや孫たちは本格的に活躍するようになった。ワン・ラヴ・ザ・ボブ・マーリー・オール・スター・トリビュートは、ローリン・ヒル、エリカ・バドゥ、バスタ・ライムス、クイーン・ラティファ、トレイシー・チャップマン、イヴ、ドクター・ジョン、クリス・ロビンソン、ベン・ハーパー、クリッシー・ハインド、ジミー・クリフ、トゥーツ・ヒバートらと、ジギー・マーリー、スティーヴン・マーリー、ダミアン・マーリー、ジュリアン・マーリー、キマーニ・マーリー(Ky-Mani Marley 1976年生まれ、母はアニタ・ベルナビス)らマーリー・ファミリーが出演して、ボブ・マーリーのカヴァーだけを歌い、最後は全員で「One Love」を歌った。これはジギー・マーリー。このときは「Trenchtown Rock」、ローリン・ヒルとのデュエットで「Redemption Song」を歌った。ジギー・マーリーは00年代になってソロ・活動を始めてから活躍を続けていて、何度もグラミーを受賞していて、映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』ではプロデューサーを務めた。

これはローリン・ヒルが「Turn The Lights Down Low」を歌っているところに、ボブ・マーリーの息子のひとりで、フットボール選手から実業家になったローハン・マーリー(Rohan Marley 1972年生まれ、母はジャネット・ハント)が飛び出してきてダンスしているところ。ローハン・マーリーとローリン・ヒルはこのときパートナーであり、ふたりの間には5人の子どもが生まれた。ローリン・ヒルの名盤『The Miseducation Of Lauryn Hill』(98年)の収録曲「To Zion」は最初の子ども、ザイオン・デイビット・マーリー(Zion David Marley 1997年生まれ)を歌った曲だった。

ボブ・マーリーの孫は100人近くいるとされ、ミュージシャンとして活躍している人も何人かいるが、なかでも、ローハン・マーリーとローリン・ヒルの息子、YG・マーリー(YG Marley 2001年生まれ)がリリースした「Praise Jah in the Moonlight」は大ヒットしている。ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの『Kaya』(78年)の収録曲「Crisis」をサンプリングしていて、それを今現在の歌で表現していて素晴らしい。

Text & Photo by Masataka Ishida

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